📄 文化のリサーチ(39本)
鏡が、もう一枚の鏡と結ばれた日 ナイジェリア南西部、オヨ州の古都イバダン。赤茶けたトタン屋根が丘陵を埋め尽くすこの街の教会で、ある日、奇妙なほど均整のとれた結婚式が執り行われた。 祭壇の前に立ったのは、双子の兄弟である。…
2026 FIFAワールドカップ・グループF第2節を、アフリカの側から読む 序章 モンテレイの90分に、大陸が映る 2026年6月21日、メキシコ・モンテレイ。日本代表とチュニジア代表が対峙するこの一戦は、日本のメディア…
ガーナの首都アクラ。大西洋に面したこの都市の海岸線で、一人の市民科学者が改造した釣り竿とバケツを使い、毎週決まった水を汲み続けてきた。コルレ・ラグーンと呼ばれる潟から、ジェームズタウンの浜辺へと、約九マイルの道のりを二年…
序 ラバトの夜に終わったもの 二〇二五年十一月、モロッコのラバト。一試合制のノックアウトで争われたアフリカ予選プレーオフの決勝で、ナイジェリア代表「スーパーイーグルス」は延長戦の末にコンゴ民主共和国と一対一で並び、PK戦…
序章──開幕の日に、緑のユニフォームはない 2026年6月、北中米三カ国共催のFIFAワールドカップが幕を開けた。史上初の48カ国体制、アフリカ勢には実質9.5枠という過去最大の門戸が開かれた大会である。モロッコ、セネガ…
「アフリカのサッカーは強いのか、弱いのか」。この問いは、ワールドカップのたびに繰り返されてきた。身体能力は世界一だが組織力に欠ける、タレントは豊富だが勝負弱い、いつか優勝するはずだがその「いつか」が来ない——。こうした紋…
はじめに 私は、アフリカという主題を扱う書き手として、一つの問いを長らく抱えてきた。すなわち、「アフリカを学ぶ」とはいったいどういう営みなのか、という問いである。地図の上に引かれた国境線を覚えること、GDPの数字を並べる…
はじめに 私は、ラゴスの埃っぽい午後に一人の青年がスマートフォンの割れた画面を覗き込みながら、たった今配信されたばかりの最新話を食い入るように観ている光景を、しばしば想像する。回線は不安定で、画質は粗く、データ通信料は彼…
はじめに カイロ中心部から東へ車を走らせると、ある瞬間に世界が切り替わる。ガラス張りの高層ビル、規則的に並ぶヤシ並木、広大な砂漠の地平線、そしてエアコンの効いた巨大なショッピングモール群。エジプトの新興都市「ニューカイロ…
はじめに:なぜいま、アフリカの山なのか アフリカ大陸の山を語るとき、多くの日本人がまず思い浮かべるのはキリマンジャロであろう。ヘミングウェイの短編、雪を頂く赤道直下の頂、そして近年では「比較的登りやすい7,000メートル…
序章 「青き民」とは誰か サハラ砂漠を旅した西洋人が、一様に魅了され、また一様に恐れた人々がいる。彼らは藍色の布で顔を覆い、ラクダの背に揺られて砂の海を渡り、星と風を読んで方位を定め、剣を腰に差して隊商を護り、また時に隊…
序章 問いの設定——音は鳴っている、では姿はどこにあるか 私は、二〇二六年五月八日にAfrican Leadership Magazineに掲載された一本の記事を、本論の出発点に据えたい。著者ソロモン・オビによる「Can…
はじめに アラビア語は、世界で約4億人以上の人々が話す、世界第5位の大言語である。アラビア半島、湾岸諸国、レバント地域はもちろんのこと、実はアフリカ大陸の広大な地域においても、公用語として用いられている。 アラブ連盟に加…
序章 アフリカを「アラビア語」から読み直す アフリカという地理概念について、私たちは無自覚な分節線を引きがちである。地中海を境界として、北を「アラブ世界」、南を「サブサハラ・アフリカ」と切り分け、両者を別個の対象として扱…
はじめに 私は、ある一冊の本との出会いから、アフリカという大陸を見つめ直すこととなった。前野ウルド浩太郎著『バッタを倒しにアフリカへ』(光文社新書、二〇一七年)である。本書は刊行以来、数多くの読者を獲得し、ベストセラーと…
はじめに アフリカという言葉から多くの読者が思い浮かべるのは、サハラ以南の風景ではないだろうか。しかし、アフリカ大陸の北縁を地中海に沿って東西に貫く広大な領域には、アラブ世界としての顔がある。エジプト、リビア、チュニジア…
はじめに 私は、ある日「アラビア語検定を受けてみよう」と思い立ち、ウェブで申込先を探したことがある。だが、いくら探しても公式の窓口が見つからない。理由はすぐにわかった。日本国内における唯一の本格的なアラビア語検定は、すで…
序章 ── 私は、ある一枚のリネンから始める 私は、カイロ郊外のとあるブティックで、一枚のリネン地を手に取ったときの記憶から、この長い論考を始めたい。 その布地は、生成りの粗いリネンに、本物のバナナリーフを直接押し当てて…
序——衣の国への眼差し 私は、エジプトを「衣の国」として捉え直すべき季節がきていると考える。ピラミッドや古代王朝の幻影に覆われがちなこの国は、しかし同時に、紀元前五〇〇〇年からの紡織の歴史を持ち、現代でもアフリカ大陸最大…
序章 ロンドンのクラブで囁かれた一つの言葉 1960年代後半、ロンドンのソーホー地区。深夜まで営業する小さな会員制クラブの一角で、一人の長身のナイジェリア人男性がコンガを叩いている。彼はステージを降りると、馴染みの客に向…
はじめに——なぜ今、キリマンジェロなのか アフリカ大陸の東端、タンザニア連合共和国の北東部に、地球上で最も印象的な山のひとつがそびえ立っている。キリマンジェロ(Kilimanjaro)。標高5,895メートル。アフリカ大…
はじめに──「私はストーリーテラーだ。私の歌がそう言っている」 2026年3月28日の夜、南アフリカ・ケープタウン国際コンベンションセンター(CTICC)。ケープタウン・インターナショナル・ジャズ・フェスティバル(CTI…
はじめに 2026年4月19日、京都・東本願寺を舞台に、南アフリカのシンガーソングライター Msaki(ムサキ)が来日公演を行う。KYOTOPHONIE(キョウトフォニー)2026 Springの一環として実現するこの公…
はじめに——なぜ今、アフリカの言語なのか アフリカ大陸には、現在確認されているだけで2,000を超える言語が存在する。これは全世界の言語の約3分の1にあたる。ナイジェリア一国だけで500以上の言語が話されており、パプアニ…
はじめに ── なぜ今、ナイジェリア現代アートなのか ナイジェリアは、アフリカ大陸最大の人口を擁する国家であり、その文化的多様性は250を超える民族集団に裏打ちされている。ヨルバ族の青銅鋳造、イボ族の木彫り、ベニン王国の…
はじめに――なぜ今、ナイジェリアの世界遺産を語るのか アフリカ最大の人口を誇るナイジェリア。2億2,000万人超の人々が暮らすこの巨大国家は、石油大国としての経済的存在感や、ノリウッド(ナイジェリア映画産業)の文化的影響…
はじめに――なぜ今、ナイジェリアのファッションなのか 2025年10月、ラゴス・ファッション・ウィーク(Lagos Fashion Week)は15周年を迎えます。テーマは「In Full Bloom(満開)」。アフリカ…
AFRICANIST 基礎リサーチシリーズ #365 はじめに 2010年代初頭、アフリカ、特にナイジェリアの音楽産業は、グローバルな文化的影響力を持つメディア産業へと急速に転換しました。このアフロビーツ音楽革命の中心的…
AFRICANIST 偉人列伝シリーズ #259 はじめに ファイス・ハッサンは、南アフリカ発祥のグローバルなファーストカジュアルレストランチェーン「Nandos」の創業者であり、アフリカ大陸における企業家精神と経営戦略…
AFRICANIST 偉人列伝シリーズ #240 はじめに 音が始まる前に、すでに何かが存在する。音とともに、世界は形を成す。これがグリオの宇宙観である。マリの伝説的なコラ奏者、トゥマニ・ジャバテの弟子にして、マンデ社会…
AFRICANIST 偉人列伝シリーズ #223 はじめに 2016年、カナディアンのラッパー・シンガーであるドレイクは、「One Dance」という楽曲を発表した。その楽曲に、ナイジェリアの若き音楽家ウィズキッドがフィ…
AFRICANIST 偉人列伝シリーズ #218 はじめに アフリカの知識人たちが直面する最も根本的なジレンマの一つが、言語の選択である。独立後のアフリカにおいて、多くの作家は帝国主義の言語であるフランス語や英語で創作活…
AFRICANIST 基礎リサーチシリーズ #183 はじめに アフリカのコミック・アニメ文化は、21世紀に入り、大陸の重要なクリエイティブ産業セクターとして急速に発展している。かつてアフリカの視覚文化は、西欧のマンガや…
AFRICANIST 基礎リサーチシリーズ #180 はじめに アフリカの建築は、大陸の複雑な歴史、多様な気候と地理的環境、そして現代のグローバル化する世界との相互作用を体現する文化的テキストである。サハラ以南アフリカの…
AFRICANIST 基礎リサーチシリーズ #179 はじめに アフリカのストリートカルチャーは、単なる都市文化の副産物ではなく、大陸全体を揺るがす社会的・経済的変化の最前線を象徴している。アフロビーツ、ダンスホール、グ…
AFRICANIST 基礎リサーチシリーズ #142 はじめに レソトはアフリカ南部に位置する内陸国で、南アフリカに完全に囲まれた地理的に独特な位置を占めている。かつてバスートランド保護領として知られていたレソトは、19…
AFRICANIST 基礎リサーチシリーズ #128 はじめに カメルーンはアフリカ大陸において「アフリカの縮図」として記述されることが多い。この表現が示唆するのは、カメルーンが、アフリカ大陸の多様性を凝縮した形で反映し…
AFRICANIST 基礎リサーチシリーズ #84 はじめに アフリカの宗教地図は、地理的に鮮明に分化している。北アフリカ(モロッコからエジプトまで)はイスラム教圏、南部アフリカはキリスト教圏、その中間地帯(サハラ周辺か…
AFRICANIST 基礎リサーチシリーズ #83 はじめに アフリカは言語多様性で世界をリードする大陸である。2,000を超える言語が話されており、これは全世界の約30%に相当する。ナイジェリア単独で約500の言語が存…